もみ殻シリカ:持続可能性の鍵を握る未知の資源

もみ殻シリカ:持続可能性の鍵を握る未知の資源

環境対応製品

もみ殻灰シリカ(Rice Husk Ash Silica)とは、もみ殻を焼却した際の灰から得られる微細なシリカ粒子のことを指します。もみ殻は米を収穫した後に残る外殻のことで、農業の副産物として大量に発生します。これらのもみ殻は通常処分されるか、燃料として利用されることがありますが、もみ殻シリカの研究によりこれを有用な材料として再利用する可能性が見出されました。

 

 

もみ殻灰(RHA)シリカとは?

シリカとは、二酸化ケイ素(SiO2)のことを指します。通常のシリカ製造には珪砂や石英などが使用されますが、採掘による環境破壊や1000度以上の高温焼成が必要な生産方法で環境負荷が高いといわれております。それに対し、もみ殻シリカは農業廃棄物であるもみ殻のシリカ成分を抽出したエコな素材です。もみ殻によるCO2吸収や生産プロセスも省エネルギーであることから注目されております。

以下にもみ殻灰シリカについて詳しく解説します。

 

もみ殻灰シリカの種類

もみ殻から生産されるシリカは「沈降性シリカ」という種類のシリカが一般的です沈降性シリカとは、シリカ溶液を酸性条件下で凝固させることで得られる微粒子のシリカのことを指します。この凝固させる過程により、微細な粒子サイズや特有の形状が生まれる特性を持っています。

沈降性シリカ以外にももみ殻由来のシリカゲルやヒュームドシリカの開発も一部進んでいるようです。

 

もみ殻灰シリカの製造方法

もみ殻シリカは、もみ殻を原料として製造されます。もみ殻は、米や大豆の精製過程で残る外皮部分であり、従来は農業廃棄物として処理されていました。しかし、もみ殻にはシリカが20%ほど含まれており、それを有効に利用する方法として、もみ殻シリカの製造が開発されました。

まずはじめに、もみ殻を高温で燃焼させることにより有機物や水分を除去します。これにより、もみ殻中のシリカ成分を70%まで濃縮させることができます。次に、燃焼したもみ殻灰を化学溶液を使いシリカ成分を溶解させます。そして、適切な処理及び乾燥を行うことで粉末状のもみ殻シリカを得ることができます。製造プロセスによってシリカの微細な粒子構造が形成され、高い表面積と特有の物性が生まれます。

 

もみ殻灰シリカの特徴

  1. 環境に優しい: もみ殻は農業の副産物であり、環境に負担をかけずに大量に得られる原料です。また、焼却後の灰からシリカを取り出すプロセスは従来のシリカ製造よりエコで、CO2排出量も50%程低減できるといわれております。

  2. 高純度: もみ殻から得られるシリカは通常のシリカ同様に高純度にすることが可能で、工業的にも価値があります。

  3. 多孔質: もみ殻灰シリカの表面は多孔質であり、吸着やフィルタリングの用途に適しています。

     

    もみ殻灰シリカの多岐にわたる用途とその特性

    もみ殻灰シリカは、高純度かつ特有の物理的、化学的性質を持ち、多くの産業での利用が増加しています。以下、主な用途に焦点を当て、それぞれの特性や役割について解説します。

    1. タイヤ

    • 特性・役割: タイヤに使用されるゴムとシリカの組み合わせは、ウェットグリップ性能の向上やローリングレジスタンスの低減に貢献します。
    • もみ殻灰シリカの利点: タイヤの耐摩耗性を向上させることができ、燃料効率の向上やCO2排出量の削減にも寄与します。

    2. 工業用ゴム製品、靴製品

    • 特性・役割: シリカは、ゴムの強度や耐久性を向上させるための充填剤として使用されます。
    • もみ殻灰シリカの利点: 高純度で均一な粒子サイズのため、ゴムとの相互作用が高まり、製品の品質や性能を向上させることができます。

    3. 塗料・コーティング

    • 特性・役割: シリカは、塗料やコーティングの粘度調整や充填剤として利用されます。
    • もみ殻灰シリカの利点: 粒子の均一性や高純度により、滑らかで均一な塗装面を得ることができ、耐久性や紫外線に対する耐性も向上します。

    4. 動物飼料成分

    • 用途: 動物の飼料の補助成分として。
    • 特性と利用: もみ殻灰シリカは、飼料の流動性の改善や、飼料内での結束を防止する役割を果たします。また、シリカは消化の助けとなるミネラルとしての役割も果たすことがある。

    5. パーソナルケア

    • 用途: スキンケアやヘアケア製品、歯磨き粉などの成分として。
    • 特性と利用: もみ殻灰シリカは、製品の滑らかなテクスチャーや摩擦感を提供するために使用されます。歯磨き粉では、歯を優しく磨く微粒子として効果を発揮します。スキンケアやヘアケア製品では、製品の分散性や安定性の向上に寄与します。

     

    世界の市場動向

    もみ殻灰シリカの市場は、環境保護やカーボンフットプリント低減の重要性が高まる中で、急速に拡大しています。特にアジア地域における稲作の多さから、もみ殻の利用可能量が豊富であり、この地域がもみ殻灰シリカの生産の中心となっています。

    主要な製造者

    • Yihai Kerry
    • Wadham Energy
    • Oryzasil
    • Jiangxi Jinkang Advanced Material
    • Anhui Evosil Nanomaterials Technology
    • Green Silica Group
    • BSB Nanotechnology
    • Brisil
    • Chunhuaqiushi
    • Novosilgreen
    • EKASIL
    • Jiangsu Han Fang Technology

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