5年後市場規模22億ドル!次世代サステナ素材(NEXT-GEN MATERIALS)MIIレポート纏め

5年後市場規模22億ドル!次世代サステナ素材(NEXT-GEN MATERIALS)MIIレポート纏め

コラム

こんにちは、CHEMBASE編集部です。

前回に続いて次世代サステナ素材に関して取り上げたいと思います。

今回はMaterial Innovation Initiative(以下MII)のレポートと打ち合わせした内容を取り上げます。

MIIは2019年に設立された次世代サステナ素材を支援する非営利団体で、科学者、スタートアップ、ブランド、投資家を繋ぐアクセレレーターです。

同団体より最新2021年次レポートが3月に公開されましたので、ご紹介していきます。

(引用元:https://www.materialinnovation.org/

次世代素材とは?What are NEXT-GEN MATERIALS?

同レポートでは素材を3つに分けて考えています。

① Animal-Based 動物由来(“Incumbents”「現存するもの」)

人類は何世紀にもわたって革、絹、羊毛、毛皮、羽毛を使用してきました。

これらの動物由来素材は、環境面や倫理面で問題があり、人類の人口が増え続ける中で、ますます緊急の課題となっています。

ただし、副産物である動物の皮革を使用しないのは合理性に欠けるものです。

従って代替肉、培養肉など畜産、食品産業も一緒になって取り組まなければ解決できない問題でもあります。

② Synthetic 合成 (“Current-Gen” 現世代) 

20世紀、合成樹脂の発明により、動物性素材に代わる安価な石油由来の素材、ポリウレタン、PVC、ポリエステル、アクリルなどが開発されました。
しかし残念なことに、これらの代替素材もまた 持続不可能で倫理的に問題があるのです。

③ Next-Gen (次世代素材)

次世代素材とは、従来のレザーやウール、シルク、ダウン、ファー、エキゾチックスキンなどの代替となるものです。

バイオミミクリー(生物模倣)の手法を用い、動物由来の素材が持つ美観や性能を再現しながらも、より環境に配慮した素材や工程を採用し 環境にやさしい素材と工程を使用しています。

市場規模、マーケット、資金調達状況

SPEEDA EdgeとMIIの予想ではマーケット規模は次世代材料産業は年平均成長率80%で成長し、5年以内に約22億ドル(2800億円)に達するとしております。

その注目度の高さから資金調達も加速しており、全体で2015年から2021年で12億ドルの調達、そのうち5憶ドルは2020年に調達されたものです。

また、2020年の最大資金調達が293Mドル(375億円)と1件あたりでも大きな金額となってます。

次世代素材企業は合計74社で、現時点では市場はまだ初期段階にあると考えられております。

そのうち49社が動物皮革、9社がシルク、7社がウール、6社がダウン、1社がエキゾチックスキンのバイオミミクリー(生物模倣)に注力している。

市場の歴史はまだ浅く、大半の企業が2014年以降に設立されている。(全72社中42社)

動物由来の皮革の性能と美しさをよりよく再現するために、菌糸や微生物由来の材料を用いて次世代皮革を製造する企業が増えている。

(引用元:https://www.materialinnovation.org/

次世代素材にも様々なアプローチが存在する

① Plant-derived(植物由来)

植物由来のバージン材/廃棄物/副産物から作られる次世代材料に適用される。藻類は、植物ではないが、このカテゴリに含まれる。

参入企業:Natural Fiber Welding(MIRUM)

② Mycelium(菌糸)

菌糸と呼ばれる一部の菌類の根のような構造を利用した次世代素材に適用される。植物由来カテゴリとは異なり、菌糸体が関与する次世代イノベーションが豊富であることから 菌糸を利用した次世代イノベーションが盛んであることから、植物由来とは異なる位置づけとしている。

参入企業:Bolt Threads(Mylo)、MycoWorks、MYCL Mycotech Lab、Ecovative

③ Cultivated animal cells(動物培養細胞)

動物細胞(皮膚等)を実験室で培養する組織工学的アプローチを用いた次世代材料に適用される。

④ Microbe-derived(微生物由来)

細胞培養や発酵プロセスなどの細胞工学的アプローチを利用して、次世代材料処方のためのタンパク質やバイオポリマーなどの生成物を生産する次世代材料に適用される。

⑤ Recycled material(リサイクル素材)

リサイクルプラスチックやリサイクル繊維の原料を主原料とする次世代材料に適用されます。

⑥ Blend(混合素材)

上記のいずれのカテゴリーにも当てはまらない成分のブレンドを使用する次世代材料に適用されます。

参入企業:Ananas Anam(Pinatex)、Adriano Di Marti(Desserto)

(引用元:https://www.materialinnovation.org/

ブランドとのコラボレーション

多くのブランドが次世代素材スタートアップとのコラボレーションを進めています。

次世代素材はまだ量産性が低く、作ったと同時に大手ブランドが確保しているような状況のようです。

消費者意識も変わってきており、全世代で概ね80%が多少高くてもサステナブルな素材を選ぶとのことです。

(引用元:https://www.materialinnovation.org/

MIIのフルレポートは非常によく纏まっているので是非読んでみてください。

https://www.materialinnovation.org/

また5月18-19日でカンファレンス(Material Innovation Conference)も行われるそうなのでチェックしてみてください。

以上、CHEMBASE編集部でした。

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